学会で小川洋子の話が出て、読んでみようと思いました。たまたま『余白の愛』を選んだが、本当によかったと思います。いきなり旦那にすてられて耳不自由になる女の人が知らない人の指に恋に落ちてしまう。その人に記憶を語りながら「今」と「ここ」を成り立たせてゆく一人の女性の話。特に印象に残ったのは、三人で雪のなかで歩いている場面です。